大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

最高裁判所第二小法廷 昭和38年(あ)1580号 判決 1965年3月12日

主文

本件各上告を棄却する。

理由

弁護人宮川仁、同斎藤孝知の上告趣意第一の第一点について。

所論は、被告人合名会社倉田酒舗につき、その代表社員たる倉田譲は昭和三六年三月三日破産の宣告を受けたのであるから、同人は商法八五条四号により法律上当然に退社し、従って代表者たるの地位を失うべく、右破産宣告後において同人を代表者として追行された本件訴訟手続は不適法かつ無効である旨主張する。

論旨は、単なる訴訟法違反の主張であって、刑訴法四〇五条の上告理由に当らない。(なお、被告人倉田譲が昭和三六年三月三日破産宣告を受けたことは所論のとおりであるが、被告人合名会社倉田酒舗も同日同時刻に破産の宣告を受けていることが記録上明認できる。ところで、合資会社の無限責任社員が会社解散後に破産の宣告を受けても退社原因とならないとすること大審院の判例--昭和七年(オ)第二一二〇号同九年六月二七日民事第四部判決、判決全集七巻二〇頁--とするところであるが、この法理は合名会社の破産による解散に際し、その(無限責任)社員が会社と同時に破産宣告を受けた場合にも適合するものというべく、従って倉田譲は、その破産により退社することなく、依然被告会社の代表社員であるといわねばならず、論旨は採ることができない。)

同第二点について。《以下略》

よって刑訴法四一四条、三九六条により、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 奥野健一 裁判官 山田作之助 裁判官 草鹿浅之介 裁判官 城戸芳彦 裁判官 石田和外)

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例